昨年の丁度今頃にイギリスBBC放送に取材を受けました内容が、順次世界に放送されるとのご連絡を頂きました。
またBBCのウェブサイトにて、予告のミニエピソードが公開されておりまして、こちらでもご紹介させていただきます。
(三角のところを押すと、ミニエピソードが再生されます)
日本では同時に放送されないようですからご案内はここまでですけれども、世界中の多くの方に観ていただける事、恐縮ではありますが本当に有難く思っております。
また、取材関係者の方に、この映像の日本語訳をいただきましたので、よろしければご覧ください。(「 」内は私の言葉です)
〜ここから〜
人々を魅了しているのは巨木だけではありません。
自然の本質を全く違う形で敬う人々もいるのです。
盆栽は完璧な木々をミニチュアサイズで作る伝統的な芸術です。
ここにある木々はすべて普通の樹木です。通常通り育てたら、巨木となっていたでしょう。
山本千城子さんは、人生を盆栽に捧げてきました。(日本盆栽協同組合の)唯一の女性の先生(盆栽技能保持者)です。
「1日中盆栽のことをやってられるんだっていう、そういう自分を認識したのが最近かな。」
「あっという間に時間は過ぎていってしまうんだけど、時間の大切さを感じるかな。」
一瞬の作業を何週間、何年、何十年と繰り返します。
「1年、2年、5年、18年、25年。」
一本ずつの枝の一つずつの曲は、生涯を通してその木を見つめ続けてきた結果の現れなのです。
「儀式っていうよりも宗教観がないと植物育たないというか。」
このようにして自然を形作るには、永遠と続く作業に絶え間なく従事しなくてはなりません。
今日は、10年に1度行われる植え替えの作業の日です。
「木を若返らせることなんですよね。もう根詰まりしていて、木が衰退してきているというか、根を切って新しい根を出させて、樹勢をつけるというあれですよね。」
千城子さんがこの小さな木々を育てる理由は、そこに自身との深いつながりを感じるからです。
それは彼女自身の過去とのつながりです。
この盆栽は、1世紀ほど前に祖父によって植えられました。
「19世紀のころに山採りされて、やっぱり祖父がつくった明治からの盆栽が、私が小さいときに水をやっていた、そういう盆栽に自分が慣れていたので」
この盆栽は三人の天皇よりも長く生き、世界の大きな変化を目の当たりにしてきました。そして千城子さんよりも長く生きることになるでしょう。
「自分が死んでも、自分がてがけている盆栽は生き残るんだよね。そこを考えると、あっという間に時間は過ぎていってしまうんだけど、子供もあっという間に大きくなって。でも盆栽はずっとそばにいて、あのときこうだったよね、ああだったよね、って。時間の積み重ねがすごいですよね、やっぱりね。その時間の中に思い出が詰まっている。」
流れていく月日。
千城子さんにとって盆栽と向き合うことは、時そのものと向き合うことなのです。
〜ここまで〜
最後に、この場を借りて御礼申し上げます。
朝倉彩様、本当にいつもありがとうございます。